もし家の軒下などで、一匹の女王バチが小さな巣を作り始めているのを発見し、場所の都合上どうしても駆除が必要だと判断した場合、その作業にはいくつかの重要な注意点があります。女王バチが一匹きりで活動している初期の巣は、駆除の最大のチャンスですが、やり方を間違えると逆襲を食らったり、数日後にハチが戻ってきて再発したりといった失敗を招きます。まず、作業を行う時間帯は、女王バチが確実に巣に留まっている夕方から夜、あるいは早朝が最適です。日中の活動時間は女王バチが餌や材料を求めて外出していることが多く、留守中に巣だけを壊しても、戻ってきた彼女は行き場を失い、さらに興奮して周囲を飛び回る「戻り蜂」となって非常に危険な状態になります。女王バチが巣の真ん中でじっとしている時間帯を狙えば、一回の噴射で確実に仕留めることができます。次に、使用する薬剤は必ず「蜂専用」と銘打たれた、飛距離と即効性の高いものを選んでください。一般的なハエ・蚊用の殺虫剤では射程距離が短く、ハチを死に至らしめる前にこちらが攻撃を受けるリスクがあります。噴射する際は、風上からターゲットを狙い、少なくとも三メートル以上の距離を保って、迷わず一気に浴びせかけます。一匹の女王バチが相手であれば、薬剤が少しかかるだけで彼女は動きを止め、地面に落下します。しかし、ハチが落ちた後も油断は禁物です。地面に落ちたハチは死に際まで針を出し入れする反射運動を続けており、素手で触れたりサンダルで踏んだりすると、猛毒の針が刺さる恐れがあります。回収する際は必ずトングや火箸を使い、厚手のビニール袋に入れて処分してください。そして、駆除が終わった後は、巣があった場所を綺麗に清掃し、残ったフェロモンを拭き取っておくことが不可欠です。ハチは場所を記憶する能力が非常に高いため、跡を残しておくと他の女王バチが「ここは巣作りに適した場所だ」と判断し、再び同じ場所に営巣する可能性があるからです。駆除後の場所に忌避成分を含むスプレーを再度散布しておくことで、そのシーズンの安心を確実なものにできます。一匹を相手にする駆除であっても、野生の生存本能と戦うという意識を持ち、周到な準備と慎重な手順を積み重ねることが、安全で確実な結果をもたらす唯一の道なのです。
巣作りを始めた一匹の女王バチを駆除する際の注意点