初めてバルサンを手に取ったとき、多くの人はその強力なイメージに期待を寄せますが、同時に使い勝手の面でいくつかの落とし穴に直面することがあります。よくある失敗の一つは、部屋の広さに対して薬剤の量が不足していたり、逆に多すぎたりすることです。効果を最大限に高めようとして、小さな部屋で強力なタイプを複数使用すると、薬剤が壁紙や家具に過剰に沈着し、ベタつきや変色の原因になることがあります。逆に広すぎる部屋に一つだけ設置しても、薬剤が隅々まで届かず、害虫を仕留めきれないという結果に終わります。使用前に必ず部屋の畳数を確認し、適切な個数を用意することが大切です。また、薬剤を始動させる「タイミング」を間違える失敗も散見されます。すべての準備を整え、火災報知器を覆い、ペットを避難させ、いざ始動させた後に「スマホを忘れた」「車の鍵が部屋の中だ」と気づいて、煙が充満し始めた部屋に飛び込むのは非常に危険です。薬剤を吸い込んで激しく咳き込んだり、目に痛みを感じたりするだけでなく、扉を開けることでせっかくの薬剤が逃げてしまい、駆除効果が半減してしまいます。始動させる直前には、忘れ物がないか、そして自分以外の人間が完全に退去しているかを最終確認し、一度火をつけたら(あるいは水を注いだら)速やかに外に出て、指定の時間までは決して戻らない強い意志を持ってください。さらに、放置時間が終わった後の「換気不足」も初心者がやりがちなミスです。説明書にある放置時間はあくまで「薬剤が作用する時間」であり、その後の換気時間は含まれていません。換気が不十分なまま部屋に入り、掃除を始めて気分が悪くなるケースは後を絶ちません。窓を全開にし、少なくとも一時間は空気を入れ替える余裕を持ってスケジュールを組みましょう。最後に、死骸の処理を忘れてはいけないという点も強調しておきます。バルサンは虫を殺してくれますが、死骸を消し去ってはくれません。家具の裏や隙間で力尽きた虫を放置すると、それがダニの餌になったり、別の害虫を呼び寄せたりする原因になります。使用した日のうちに、部屋の隅々まで掃除機をかけ、徹底的に清掃を行うことで初めて、バルサンによる害虫駆除は完結するのです。
くん煙剤を初めて使う人が陥りやすい失敗とそれを防ぐ心得