家全体をバルサンで燻蒸する際、多くの人が頭を悩ませるのがクローゼットの中の衣類や、毎日肌に触れる寝具の扱いです。バルサンの成分であるピレスロイドは、人間に対する毒性は低いとされていますが、肌が敏感な人や小さなお子様がいる家庭では、わずかな付着でもかぶれやアレルギー反応を引き起こす懸念があります。まず、衣類に関する対策としては、クローゼットやタンスの引き出しを完全に閉めておくことが基本です。しかし、古い木製の家具などはわずかな隙間があるため、高級なスーツやドレス、シルク製品などは、あらかじめ衣類カバーをかけるか、大きなポリ袋にまとめて入れておくと安心です。特に、直接肌に触れる下着やタオル類は、薬剤が届かない場所に移動させるのが理想的です。もしクローゼットの中まで徹底的に駆除したいという場合は、衣類をすべて外に出し、空の状態で行う必要がありますが、その場合は戻す前に衣類に薬剤がかからないよう、別室で管理しなければなりません。次に寝具ですが、布団や枕は面積が広く、また睡眠中に長時間肌が触れるため、最も注意が必要です。布団は畳んで布団袋に入れるか、ブルーシートなどで全体を覆い、隙間から煙が入らないようにしてください。マットレスなどの動かせない大きな寝具については、大きなビニールシートを被せ、四隅を重しで押さえるなどの処置を施しましょう。使用後、もし誤って薬剤が寝具に触れてしまったと感じる場合は、天日干しをして掃除機をかけるか、カバーを洗濯することをお勧めします。また、ぬいぐるみなどの子供のおもちゃも、子供が口に入れたり抱きしめたりするため、必ず袋に入れて隔離してください。バルサンを焚いた後の部屋は、空気中に浮遊している薬剤が落ち着くまでにある程度の時間がかかります。換気を開始してもしばらくは、衣類や寝具をそのまま放置せず、表面を軽く叩いたり掃除機で吸い取ったりすることで、残留成分を最小限に抑えることができます。こうした目に見えない部分への配慮が、害虫のいない清潔な環境と、家族の健康的な生活を両立させるために欠かせないステップとなるのです。面倒に思える準備作業も、その後の安心感を考えれば決して無駄にはなりません。