鳩の侵入を完全に、そして永続的に遮断するための最終兵器が防鳥ネットです。しかし、ただ網を張れば良いというものではありません。正しく選ばれ、正しく設置されたネットでなければ、鳩は容易にそれを突破し、かえってネットの内側で安心して巣を作ってしまうという最悪の事態すら招きます。まず、ネット選びで最も重要なのは「網目のサイズ」です。鳩対策には二十五ミリから三十ミリの網目が推奨されます。これより大きいと、鳩は体を小さくして通り抜けることができ、逆に小さすぎると雪が積もって重みで破れたり、圧迫感が出て景観を損ねたりします。素材は、紫外線に強く、屋外での使用に耐えうる高密度ポリエチレン製で、かつ黒色や透明などの目立ちにくい色を選ぶのが一般的です。設置の手順において、最も失敗しやすいのが「固定方法」です。多くの人が突っ張り棒やガムテープで固定しようとしますが、これでは強風や鳩の執念深いアタックに耐えられません。プロの現場では、壁面に専用の樹脂製ベースを接着剤で固定し、そこにネットを引っ掛けるという手法を取ります。壁に穴を開けられないマンションでも、この方法なら強力に固定することが可能です。設置の際は、まず上部を固定し、次に左右、最後に下部へと進めますが、このとき「一ミリの隙間も作らない」ことが鉄則です。特に手すりと床の間、エアコン配管の周囲など、人間の指が入る程度の隙間があれば、鳩はそこをこじ開けて入ってきます。また、ネットはピンと張ることが大切です。たるみがあると、そこに鳩が止まってしまい、糞害が発生したり、風に煽られて騒音の原因になったりします。設置前には、必ず室外機の下などに潜んでいる鳩がいないか、卵がないかを確認してください。万が一、鳩をネットの中に閉じ込めてしまうと、動物愛護法に抵触する可能性があるだけでなく、パニックになった鳩がネットを破壊することもあります。最後に、ネットを張ったからといって安心せず、定期的に固定具が外れていないか、鳩がネットの外側で巣を作ろうとしていないかを点検してください。完璧な物理遮断は、正しい道具選びと、一切の妥協を許さない丁寧な施工によってのみ完成するのです。