念願の一人暮らしを中古マンションで始めたAさんは、入居して数日後から、夜眠るたびに足首や腕に激しい痒みを感じるようになりました。当初は引っ越しの疲れによるじんましんか、あるいは慣れない環境によるストレスだと思っていましたが、症状は日を追うごとに悪化していきました。特に深夜、布団に入って一時間ほど経つと、刺されるようなチクチクとした感覚に襲われ、電気をつけて確認しても虫一匹見当たりません。不思議なことに、痒みが出るのは決まって布団の中だけであり、昼間にリビングで過ごしている時は全く問題がないのです。Aさんは市販のダニ除けスプレーを試しましたが、効果は一時的でした。困り果てたAさんが専門の清掃業者に相談したところ、驚くべき事実が判明しました。原因は、前の住人が残していたわずかな汚れから発生したダニに加え、湿気の多いクローゼットに収納していた布団自体に古いホコリやカビが蓄積していたことでした。中古物件の場合、室内がクリーニングされていても、収納スペースの奥や畳の隙間などにダニの卵や死骸が残っていることがあり、それが新しい住人の持ち込んだ布団に移動して増殖することがあります。また、Aさんのケースでは、安価な合成繊維の布団を使用していたため、吸湿性が悪く、寝汗による蒸れがダニの活動を活性化させていたことも要因の一つでした。業者のアドバイスを受け、Aさんはまず布団をクリーニング店で丸洗いし、高温の熱風乾燥を施しました。さらに、入居したての寝室に防ダニ燻煙剤を散布し、部屋全体の環境を一度リセットしたのです。また、寝具を吸湿性と放湿性に優れた天然素材の綿や麻に変更し、マットレスと床の間に除湿シートを敷くことで、湿気が溜まらない工夫を凝らしました。これらの対策を講じてから一週間、Aさんの体から痒みは消え去り、ようやく新生活を心から楽しめるようになりました。この事例は、たとえ見た目が綺麗であっても、目に見えない微生物や環境要因が私たちの睡眠の質を左右することを如実に物語っています。
中古物件への入居後に始まった謎の痒みの原因