不快で痛みを伴う線状皮膚炎を引き起こすやけど虫。この厄介な害虫との遭遇を避けるためには、彼らがいつ、どのような場所に現れやすいのか、その活動パターンをあらかじめ知っておくことが、最も効果的な予防策となります。やけど虫、すなわちアオバアリガタハネカクシは、高温多湿の環境を好む昆虫です。そのため、彼らが最も活発に活動し、私たちの生活圏に侵入してくるのは、気温と湿度が上昇する「梅雨時から夏にかけて」のシーズン、具体的には6月から8月頃がピークとなります。この時期は、彼らの繁殖期とも重なり、個体数が爆発的に増加するため、遭遇のリスクも格段に高まるのです。彼らが本来生息しているのは、田んぼや畑、湿った草地、河川敷といった、土壌が湿っている場所です。昼間は、そうした草むらや石の下などに潜んでいますが、夜になると活動を開始します。そして、彼らが家の中にまで侵入してくる最大の原因となるのが、多くの夜行性昆虫が持つ「正の走光性」、つまり光に集まるという習性です。夜、暗闇の中で煌々と輝く民家の明かりは、彼らにとって抗いがたい魅力を持つ灯台のようなもの。その光を目指して飛来し、網戸や窓ガラスに集まってくるのです。特に、大雨が降った後の、蒸し暑い夜は要注意です。雨によって住処を追われたやけど虫たちが、一斉に活動を開始し、光を求めて大量に飛来する可能性があります。また、彼らはそれほど飛ぶのが得意ではないため、風に乗って運ばれてくることもあります。都市部でも、近くに公園や緑地があれば、発生のリスクは十分に考えられます。夏場の夜、特に雨上がりに窓を開ける際は、網戸がきちんと閉まっているかを確認する。洗濯物を夜間に干さない。こうした基本的な注意を払うだけでも、危険な侵入者との遭遇率を大きく下げることができます。敵が活動する「季節」と「時間」、そして「天候」を知ることが、見えない脅威から身を守るための、賢明な第一歩となるのです。
やけど虫が活発になる季節と時間帯