春でもないのに、くしゃみや鼻水が止まらない。夜、布団に入ると咳き込み、朝方に息苦しくなって目が覚める。肌の乾燥やかゆみが、一年中続いている。もし、あなたがこのような原因不明の症状に悩まされているのなら、その犯人は、あなたの家に潜む「だに」かもしれません。だにそのものがアレルギーを引き起こすわけではありません。真の原因は、彼らの「フン」や「死骸」です。家の中に最も多く生息するチリダニは、私たちのフケやアカを食べて、毎日大量のフンをします。このフンや、寿命を終えただにの死骸が乾燥すると、非常に微細な粒子となって砕けます。そして、私たちが布団の上で寝返りをうったり、部屋を歩き回ったりするたびに、これらの粒子は空気中に舞い上がり、呼吸と共に鼻や口から体内に侵入するのです。体内に侵入したこの「ダニアレルゲン」に対して、体の免疫システムが「敵が来た!」と勘違いして過剰に反応し、ヒスタミンなどの化学物質を放出します。これが、くしゃみや鼻水、目のかゆみ(アレルギー性鼻炎・結膜炎)、咳や喘鳴(気管支喘息)、皮膚のかゆみや湿疹(アトピー性皮膚炎)といった、様々なアレルギー症状を引き起こすメカニズムです。特に、睡眠中に症状が悪化する場合は、寝具に潜むだにが原因である可能性が非常に高いと考えられます。だにあレルギーの対策は、薬で症状を抑えることと同時に、アレルゲンの量を減らすための「環境改善」が最も重要です。具体的には、こまめな掃除機がけや、布団乾燥機の使用、シーツの洗濯といった、だにのフンや死骸を徹底的に除去し、生きただにの数を減らす努力が不可欠です。また、空気清浄機を寝室に設置し、空気中に浮遊するアレルゲンを捕集することも、症状の緩和に役立ちます。もし、だにあレルギーが疑われる場合は、アレルギー科や耳鼻咽喉科、皮膚科などで検査を受けることで、原因を特定することができます。見えない敵の正体を知り、正しい対策を講じることが、長年の悩みから解放されるための第一歩となるのです。
くしゃみと咳の原因はだにアレルギーかも