家の窓を固く閉ざし、網戸の点検も完璧。それなのに、なぜか家の中でやけど虫に遭遇してしまった。そんな不可解な出来事の裏には、多くの人が見落としがちな、極めて巧妙な侵入経路が隠されているかもしれません。その意外な侵入経路とは、ズバリ「洗濯物」です。やけど虫は、日中は湿った草むらなどに潜んでいますが、風に乗って飛散したり、移動したりする過程で、屋外に干されている洗濯物に偶然付着することがあります。特に、白っぽいシーツやシャツは、彼らにとって格好の休憩場所となり得ます。そして、私たちは、その小さな侵入者が潜んでいることに全く気づかないまま、洗濯物をたたんで家の中に取り込んでしまうのです。そして、その衣類をタンスにしまったり、あるいはパジャマとして着用したりした時に、悲劇は起こります。衣類の中で圧迫されたやけど虫が潰れ、その体液が皮膚に付着し、原因不明の線状皮膚炎を引き起こすのです。背中や胸、お腹といった、衣類に覆われた部分にミミズ腫れができた場合、このケースを強く疑うべきです。この「洗濯物テロ」を防ぐためには、いくつかの注意点を習慣化することが重要です。まず、やけど虫が活発になる夏場の夜間や、雨上がりの湿気の多い日には、屋外に洗濯物を干しっぱなしにするのは避けましょう。日中に干した場合でも、取り込む際には、一枚一枚、衣類をよく振って、虫が付着していないかを必ず確認してください。特に、タオルの折り目や、シャツの襟、ポケットの中などは、虫が潜みやすいポイントです。また、洗濯物を取り込んだ後、すぐにたたまずに、一度部屋の中で広げてしばらく放置し、もし虫が付いていても自然に離れていく時間を与える、というのも一つの手です。さらに、家の周りに雑草が生い茂っている場合は、彼らの発生源がすぐ近くにあるということなので、より一層の注意が必要となります。日々の何気ない家事の中に潜む、小さなリスク。その存在に気づき、ほんの少しの注意を払うだけで、不快で痛みを伴う被害を未然に防ぐことができるのです。
洗濯物にご用心!やけど虫の意外な侵入経路