昼間、庭の花々を眺めている時は完璧な美しさを保っていたのに、翌朝見ると、花びらや若い葉が無残にもギザギザに食べられていた。そんな不可解な食害の犯人は、夜の闇に紛れて活動する「ナメクジ」や「カタツムリ」である可能性が非常に高いです。彼らは湿気を好み、昼間は植木鉢の裏やブロックの隙間、生い茂った葉の陰などに身を潜め、私たちが寝静まった夜間に這い出してきては、柔らかい花びらや新芽を食い荒らします。彼らの通った後には、キラキラと光る粘液の跡が残っていることが多く、これが犯人を特定する決定的な証拠となります。この夜行性の美食家から大切な花を守るためには、彼らの習性を逆手にとった戦略的な対策が必要です。最も確実で直接的な方法は、夜間の「パトロールと捕殺」です。日没後、懐中電灯を持って庭に出てみてください。昼間はどこにもいなかったはずのナメクジたちが、活発に活動している姿を発見できるはずです。見つけ次第、割り箸などで捕まえて駆除します。これを数日間続けるだけでも、被害は劇的に減少します。しかし、毎晩パトロールするのは大変だという方には、罠を仕掛ける方法がお勧めです。ナメクジはビールの匂いに強く誘引される習性があります。空き缶や浅い容器にビールを少し注ぎ、彼らが出没しそうな場所に置いておくと、面白いように集まってきて、中で溺れてしまいます。また、園芸店では、ナメクジ専用の駆除剤も販売されています。餌として食べさせることで駆除する粒状の薬剤で、これを巣の周りや通り道に撒いておくと効果的です。ただし、ペットや小さな子供がいるご家庭では、誤食しないように安全な成分でできた製品を選ぶなどの配慮が必要です。予防策としては、彼らの隠れ家となる場所をなくすことが重要です。枯れ葉や雑草をこまめに取り除き、植木鉢の下を清潔に保つなど、庭全体の風通しを良くし、ジメジメした環境を作らないことを心がけましょう。夜の静寂の中で行われる静かなる食害。その犯人の正体を知り、適切に対処することで、あなたの花壇に再び平和な朝が訪れるはずです。
夜の訪問者ナメクジから花を守る知恵