家族が集い、くつろぎの時間を過ごすリビング。しかし、その心地よい空間も、実は大量のだにが潜む、見えない危険地帯となっている可能性があります。特に注意が必要なのが、多くの家庭で愛用されている「カーペット」と「布製のソファ」です。これらは、寝具と同様に、だにが繁殖するための理想的な条件を兼ね備えた、絶好の温床なのです。まず、カーペットです。その長い毛足の奥深くは、だににとって格好の隠れ家となります。そこには、餌となる人間のフケや髪の毛、食べこぼしのカスが豊富に蓄積し、適度な湿度が保たれています。通常の掃除機がけだけでは、繊維の奥にがっちりと爪でしがみついている生きただにや、アレルゲンを完全に取り除くことは困難です。次に、布製のソファです。こちらも、私たちが座ったり寝転んだりすることで、フケやアカが供給され、内部のクッション材が汗や湿気を吸い込んで、だにが繁殖しやすい環境を作り出します。一度内部で繁殖を許してしまうと、駆除は非常に難しくなります。このリビングのだに問題を解決するためには、戦略的な掃除術と、予防的な視点が不可欠です。カーペットの掃除は、1平方メートルあたり20秒以上を目安に、縦方向、横方向と、ゆっくり丁寧に掃除機をかけることが重要です。これにより、繊維の奥からアレルゲンを掻き出すことができます。可能であれば、年に一度は専門の業者によるクリーニングや、高温のスチームクリーナーで熱処理を行うと、生きただにを死滅させることができます。ソファも同様に、隙間ノズルなどを使って、座面や背もたれの隙間を入念に掃除機がけしましょう。そして、最も効果的な予防策は、そもそもだにが棲みにくい環境を選ぶことです。例えば、カーペットを敷くのをやめてフローリングにする、布製のソファを革や合成皮革のものに買い換える、といった選択は、だに対策としては非常に有効です。また、リビングに置きがちなクッションやぬいぐるみも、だにの温床となりやすいため、こまめに洗濯したり、天日干ししたりすることを心がけましょう。家族が最も多くの時間を過ごす場所だからこそ、徹底しただに対策が求められるのです。