人生の約3分の1を過ごすと言われる寝具。そこは、一日の疲れを癒すための聖域であるはずが、実は家の中で最もだにが密集している「楽園」であるという事実を、私たちは知っておかなければなりません。布団や枕、マットレスがなぜこれほどまでにだにの温床となるのか。その理由は、だにが繁殖するために必要な「三大条件」が完璧に揃っているからです。一つ目は、豊富な「餌」。私たちが眠っている間に剥がれ落ちるフケやアカ、髪の毛は、だににとって尽きることのないごちそうです。二つ目は、最適な「温度」。人の体温で温められた布団の中は、だにが最も活発になる20~30度に保たれています。そして三つ目が、理想的な「湿度」。睡眠中の汗によって、布団の内部は湿度60%以上の、だにが好むジメジメした環境が作り出されます。この悪循環を断ち切り、清潔で安全な眠りを取り戻すためには、徹底した寝具のだに対策が不可欠です。まず、基本にして最も重要なのが「掃除機がけ」です。週に一度は、布団やマットレスの表面に、1平方メートルあたり20秒以上かけることを目安に、ゆっくりと掃除機をかけましょう。これにより、表面のダニアレルゲンを物理的に除去します。次に、熱による対策です。だには50度以上の熱で死滅します。天日干しだけでは内部の温度は上がりにくいため、「布団乾燥機」の使用が極めて効果的です。月に一度でも、布団全体を高温で乾燥させることで、内部に潜む生きただにを死滅させることができます。そして、死滅させただにの死骸やフンを洗い流すために、「洗濯」も重要です。シーツや枕カバーは週に一度、可能であれば布団本体も定期的に丸洗いしましょう。洗濯後は、乾燥機や天日干しで完全に乾かすことが鉄則です。これらの対策を補強するのが、「防だに仕様」のシーツやカバーの使用です。高密度に織られた生地が、だにの侵入や通過を防いでくれます。これらの地道なケアの積み重ねこそが、見えない敵の脅威からあなたの安眠を守るための、最も確実な方法なのです。
安眠を脅かす寝具のだに、完全対策マニュアル