日本の夏は、うだるような暑さと、肌にまとわりつくような高い湿度で知られています。この高温多湿の環境は、私たち人間にとっては不快なものですが、実は家の中に潜むだにとっては、一年で最も活発に活動し、爆発的に繁殖するための最高のコンディションなのです。だにが最も好む環境は、温度20~30度、湿度60%以上。これは、まさに日本の夏の気候そのものです。春先に生き残っていたわずかなだにが、この絶好の機会を逃さず、わずか2~3ヶ月の間に、その数を数百倍にも増やすと言われています。夏に、アレルギー症状が悪化したり、原因不明のかゆみに悩まされたりする人が増えるのは、この爆発的なだにの増殖と無関係ではありません。この夏の脅威から身を守るためには、だにの弱点である「乾燥」をキーワードとした、徹底的な湿度管理が不可欠です。まず、最も強力な武器となるのが「エアコンの除湿(ドライ)機能」です。夏場、私たちはつい冷房機能ばかりを使いがちですが、だに対策という観点では、湿度をコントロールすることの方がはるかに重要です。外出時なども、除湿運転をつけっぱなしにしておくことで、室内の湿度を常に60%以下に保ち、だにが繁殖しにくい環境を維持することができます。次に重要なのが、「換気」です。朝晩の涼しい時間帯に、二方向の窓を開けて家全体の空気を入れ替えることで、室内にこもった湿気を効率的に排出できます。浴室やキッチンを使用した後は、換気扇を長めに回すことも忘れないでください。また、夏は汗をかく機会が増えるため、寝具や衣類の管理も重要になります。汗で湿ったシーツやパジャマは、だににとってのオアシスです。こまめに洗濯し、完全に乾かしてから使用しましょう。特に、夏場に多用するタオルケットや敷きパッドは、だにの温床となりやすいため、週に一度は洗濯するのが理想です。夏を制する者は、だにを制す。湿度との戦いに勝利することこそが、アレルギーや不快なかゆみに悩まされることのない、快適で健康的な夏を過ごすための鍵となるのです。